データを「棒」で表す棒グラフ。 見慣れたグラフですが、実は使い分け方を知らないと、伝えたいことが正しく伝わらないことがあります。 この記事では、初学者でも直感的に理解できるように、「ディメンション」と「メジャー」という視点を使って、棒グラフの4つの基本形を整理します。
ディメンションとメジャーってなに?
棒グラフを理解するためには、まずデータを構成する2種類の変数「ディメンション」と「メジャー」の違いを知っておく必要があります。
- ディメンション(Dimension) :カテゴリ・区分・名前など データを「分ける」ための情報 。例:地域・性別・年度など
- メジャー(Measure) :数値・量・比率など データを「測る」情報 。例:売上・人数・点数など
棒グラフってなに?
棒グラフは、カテゴリごとの数値を棒の長さで表すグラフです。 つまり ディメンションで分けて、メジャーで棒の長さを決める。 これが棒グラフの基本ルールです。
A. 棒グラフ (Bar Chart)
まずは「ひとつの軸で比べる」
どんなときに使う?
- 単純な比較をしたいとき
- 「どこが一番多い?」をすぐ知りたいとき
→ 棒の長さがそのまま売上の大きさを表す。「東京が一番売れている」がすぐわかる。
- ディメンション:地域
- メジャー:売上金額
B. グループ棒グラフ (Grouped Bar Chart)
項目を「横に並べて比べる」
どんなときに使う?
- 2つの条件で比べたいとき
- 「地域ごとに、年度ごとの違いを見たい」など
→ 「東京は去年より増えているけど、大阪はあまり変わらない」など、変化や差を読み取れる。
- 主ディメンション:地域
- サブディメンション:年度
- メジャー:売上金額
C. 積み重ね棒グラフ (Stacked Bar Chart)
全体と内訳を一緒に見たいとき
どんなときに使う?
- 全体の合計と、内訳のバランスを見たいとき
- 「売上の中で、どの商品がどれくらい占めるか」を知りたいとき
→ 棒の高さで合計がわかり、色分けで内訳も見える。ただし、途中の棒(真ん中の部分)は比較しにくい点に注意。
- 主ディメンション:地域
- サブディメンション:商品カテゴリー
- メジャー:売上金額
D. 100%積み上げ棒グラフ (100% Stacked Bar Chart)
構成比の違いを見る
どんなときに使う?
- 全体の大きさではなく、構成比を比べたいとき
- 「地域によって売上構成がどう違うか」を見たいとき
→ 全体を100%として「どの要素がどれくらい占めるか」を比較できる。「東京は食品が多い」「大阪はバランス型」などが見える。
- 主ディメンション:地域
- サブディメンション:商品カテゴリー
- メジャー:構成比(割合)
まとめ:比べ方でグラフを選ぼう
| チャート名 | 比べ方の特徴 | 主な目的 | ディメンション数 | メジャー数 | メジャーの扱い |
|---|---|---|---|---|---|
| 棒グラフ (Bar Chart) | 1軸でシンプルに比べる | 単純な多い・少ないの比較 | 1 | 1 | 各カテゴリで1値を表示 |
| グループ棒グラフ (Grouped Bar Chart) | 横に並べて比べる | 項目ごとの差や変化を比較 | 複数 | 1 | 同一メジャーをサブカテゴリで横並び比較 |
| 積み重ね棒グラフ (Stacked Bar Chart) | 縦に積んで比べる | 全体量と内訳を同時に確認 | 1 | 複数 | 各メジャーを縦に積み上げ |
| 100%積み上げ棒グラフ (100% Stacked Bar Chart) | 割合で比べる | 構成比やパターンの違いを比較 | 1 | 複数 | 各メジャーを割合化して積み上げ |
- まず「何を比べたいのか?」を明確にする。
- ディメンションを比較したいなら「並べる」、メジャーを比較したいなら「積む」。
- 「合計を見たい」なら積み重ね棒グラフ、「構成比を見たい」なら100%積み上げ棒グラフを使う。