「バンプ・チャート」が利用されている事例を紹介します。
スロープグラフに似ていますが、スロープグラフは、(たとえ何らかの基準でソートされていたとしても)比較する定性データが、経年でどの位置にいるかを比較します。バンプ・チャートは順位を基準とします。
事例
#Election2016 米大統領候補のTwitterバズ

#Election2016: US Presidential Candidate Twitter Buzz
過去20年間におけるアメリカで人気の犬種ランキング

America’s favorite dog breeds for the past two decades, ranked
ワールドカップ・ランキング

G20諸国別 CO2排出量ランキング

Ranking G-20 Nations by CO2 Emissions
1996-2013年の間で、最も人気のある20のウェブサイトを追跡

From Lycos to Ask Jeeves to Facebook: Tracking the 20 most popular web sites every year since 1996
サン・ジョルディ前のベストセラー可視化 ― バンプチャートの発展形

図の概要
この図は、スペイン・カタルーニャ地方で行われる「サン・ジョルディの日」(毎年4月23日、本とバラを贈り合う伝統的な祝祭)の直前に、最も売れた書籍を可視化したものです。制作はバルセロナの新聞 La Vanguardia(ラ・バンガルディア)。2007年10月から2008年4月までの26週間にわたるベストセラー・ランキングの推移を、独自のインフォグラフィックとして発表しました。
図のタイトルは「Los libros más vendidos (antes de Sant Jordi)」=「サン・ジョルディ前のベストセラー」 。この地域における出版文化を象徴的に記録した作品といえます。
表現の構造
- 横軸:時間(2007年10月〜2008年4月、週単位で26ステップ)
- 縦軸:順位(1位が最上段)
- 線の色:
- 赤 = カタルーニャ語の著者
- 青 = その他の著者
- 追加の記号:
- 黄色円 = ページ数
- 黒丸 = 特別価格(プロモーション)
- 実線 = トップ10に残り続けた週
- 点線 = トップ10圏外との接続
これにより、「どの本が、いつ売れ始め、どのくらいランキングを維持したか」が一目でわかります。
バンプチャートとの関係
この図は、基本構造として バンプチャート(Bump Chart) を採用しています。
- バンプチャートの基本形は「縦軸に順位、横軸に時間、線で対象の推移を示す」ものです。
- 本作品もまさにその構造に従っており、週ごとのランキング推移を線でつないでいます。
ただし、本図は単なるバンプチャートを超えて以下の拡張を加えています:
- 1.多変量情報の統合
- 著者の属性(赤・青)
- ページ数(黄色円)
- 特別価格(黒丸)
- 2.ランキング外の動態を可視化
- トップ10から外れても点線で継続的に追跡し、「一時的なヒット」と「ロングセラー」を比較できる。
- 3.文化的背景の反映
- サン・ジョルディという文化的イベントに関連付け、単なる商業データを超えた「文化現象」として位置づけている。
このため、この図は「ランキングと時系列を組み合わせた可視化」であり「バンプチャートの発展形」と呼ぶのがふさわしいでしょう。
