ローソク足チャート(Candlestick Chart)は、株価や為替レートなどの時系列データにおいて、一定期間の「始値・高値・安値・終値(OHLC)」を視覚的に表現するチャートです。
一本のローソク足が一つの期間(例:1日、1時間など)を表し、価格の動きを直感的に把握できるのが特徴です。
胴体(ボディ)部分は始値と終値の差を、上下のヒゲ(シャドウ)はその期間の最高値と最安値を示します。価格が上昇した場合は白(または緑)、下降した場合は黒(または赤)で描かれることが多いです。
歴史的経緯
ローソク足の起源は18世紀の日本にさかのぼります。米相場の分析を行っていた「本間宗久(ほんま そうきゅう)」が考案したとされ、彼の手法はのちに『酒田五法』として体系化されました。
西洋では1970年代以降、スティーブ・ニソン(Steve Nison)によって紹介され、世界中のトレーダーに広まりました。
現在では、テクニカル分析の標準的な可視化手法として多くの金融ツールやプラットフォームに採用されています。近年では株価分析だけでなく、暗号資産(仮想通貨)やコモディティ市場でも広く用いられています。
データ構造
ローソク足チャートは、主に以下の4種類のデータを基に構成されます。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| Open(始値) | 期間の最初の価格 |
| High(高値) | 期間中の最高価格 |
| Low(安値) | 期間中の最安価格 |
| Close(終値) | 期間の最後の価格 |
これらを一つのローソクで表現し、連続して並べることで価格の変化やトレンドを把握できます。
目的
ローソク足チャートの主な目的は、価格変動の勢い・反転・トレンドの継続などを視覚的に理解することです。
単なる数値の羅列では把握しにくい市場心理(強気・弱気)を視覚的に読み取ることができ、トレーダーは売買のタイミングを判断する材料として利用します。
ユースケース
- 株式市場や為替取引(FX)におけるテクニカル分析
- 暗号資産(仮想通貨)取引の価格推移可視化
- 金や原油などコモディティ取引の価格動向分析
- データ可視化教育での時系列可視化例示
特徴
- 1本のローソクで価格変動の4要素(OHLC)を表現可能
- トレンドや反転のパターンを読み取りやすい
- 線グラフよりも市場の心理的側面を反映
- 見た目が直感的で、初心者でも理解しやすい
チャートの見方
ローソク足は「一本の棒(ローソク)」で一定期間(1日、1時間、1分など)の価格変動を表します。それぞれの要素には以下の意味があります。
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| 始値(Open) | その期間の最初の取引価格 |
| 終値(Close) | その期間の最後の取引価格 |
| 高値(High) | その期間中の最高価格 |
| 安値(Low) | その期間中の最安価格 |
| 実体(Body) | 始値と終値の差を表す四角形部分。価格が上昇した場合は「陽線(白または緑)」、下落した場合は「陰線(黒または赤)」で示される |
| ヒゲ(Wick / Shadow) | 高値と安値を示す細い線。上ヒゲは高値、下ヒゲは安値を示す |
ローソク1本で価格の動きの「始まりと終わり」「強さと勢い」を読み取ることができ、複数のローソクを連続して見ることで、トレンドや転換点を予測します。
陽線と陰線の組み合わせから「包み足」「十字線」「はらみ線」「カラカサ」などと呼ばれる多様なパターンが知られており、それぞれが市場心理やトレンド転換のシグナルとして解釈されます。
デザイン上の注意点
- 胴体の色(上昇=明色、下降=暗色)を一貫して使用する
- 縦軸のスケールを適切に設定し、極端な変化を誇張しない
- 背景色は中立的な色(白や薄灰)にし、価格動向が見やすいようにする
- 長期チャートでは期間幅を均一に保つ
応用例
- ヒーキンアシ(Heikin-Ashi):ローソク足を平滑化してトレンドを明瞭化
- レンジバー・レンクチャート:価格変化に基づいて新しいローソクを生成
- オープン・ハイ・ロー・クローズ(OHLC)バー:ローソクの代替として同情報を線で表現
代替例
- 折れ線グラフ(Line Chart):終値の推移のみを簡潔に表示
- エリアチャート(Area Chart):トレンドの方向性を強調
- カギ足チャート・ポイントアンドフィギュアなど、ノイズを除いた非時系列型
まとめ
ローソク足チャートは、日本発祥の価格可視化手法として世界的に普及し、テクニカル分析の基本中の基本とされています。単なる価格変化の記録ではなく、市場心理を読み解くツールとして多くの分野で活用されています。