ドット・マップ(Dot Map)は、地理的なデータを点(ドット)によって表す地図表現手法です。各ドットは、特定の場所における「個別の出来事」や「観測対象そのもの」を示すことが多く 1ドット=1件(または1単位) という明確な対応関係を持つのが特徴です。ドット分布マップ(Dot Distribution Map)と呼ばれることもあります。
たとえば「地震の発生地点」や「美術館の所在地」「感染症の発生場所」など、個別の位置情報をそのままマップ上に可視化する際に使われます。密度の高い領域は視覚的に点が集まり、分布傾向を直感的に読み取ることができます。
チャートの見方
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| ドットの位置 | 観測対象の実際の位置を正確に表す。地図上の地理座標に基づく。 |
| ドットの数 | 観測された事象や対象の数。1点が1件を意味する。 |
| ドットの色 | 分類属性(例:種類、カテゴリー、年次)を示すことがある。 |
| スケール | ドット同士の重なりを避けるため、ズームや透明度を調整する場合もある。 |
ドット・マップでは「位置そのもの」を伝えることが目的であり、ドットの数を地域ごとに統計的に均すことはしません。そのため 点の位置が意味を持つ ことが最大の特徴です。
ドット密度マップとの違い
ドット密度マップ(Dot Density Map)は、似た見た目を持ちながら目的が異なります。
| 比較項目 | ドット・マップ(Dot Map) | ドット密度マップ(Dot Density Map) |
|---|---|---|
| ドットの意味 | 1点=1件など、個別の実体を示す | 統計値を一定の密度に応じてドットで擬似的に配置 |
| ドットの位置 | 実際の位置データに基づく | 行政区画などの内部でランダムまたは均等に配置 |
| 表現目的 | 分布傾向・位置の可視化 | 数量・密度の比較を視覚化 |
| 典型例 | 犯罪発生地点マップ、店舗分布 | 人口密度、農地面積、種族分布 |
| 見方の焦点 | 点の位置に注目 | 点の密度に注目 |
このように、「ドット・マップ」は位置の忠実な可視化であり、「ドット密度マップ」は統計的な面密度の表現という点で明確に区別されます。
背景と応用
ドット・マップは19世紀以来の地図表現法であり、地理情報システム(GIS)やオンラインマッピングツール(Mapbox、Leafletなど)によって現在も広く使われています。近年では、インタラクティブなドット・マップが多く登場し、マウスオーバーで属性情報を表示するなど、単なる可視化を超えた分析用途にも活用されています。
まとめ
- ドット・マップ は個々の位置データを正確に示す地図表現。1点が1対象。
- ドット密度マップ は集計データを面内に分布させる統計的表現。
- 目的が「位置の表示」か「密度の比較」かで使い分けることが重要。
- 現在では両者とも、GISやWeb地図可視化ツールによって動的に作成できる。
参考・出典
- Dot distribution map - Wikipedia
- Dot mapping cartograms for detection of infectious disease - NCBI (PMC)
- Creation and evaluation of graduated dot maps - ResearchGate
- Dot Distribution Map | Data Visualization Standards (XDgov)
- Racial Dot Maps Based on Dasymetrically Modeled Gridded Population Data - MDPI
- Scaling the Interactive Dot Map - NSF Public Access Repository
- Automated Dot Mapping: How to Dot the Dot Map - Taylor & Francis Online
