どんなチャート？

「パラレル・コーディネイト（平行座標）」から着想を得ていますが、カテゴリーデータの頻度を表現していること、折れ線ではなく面で表現しているという違いがあります。2つ以上のカテゴリーデータの頻度を相対値（合計で100%になるように）で集計したデータを用います。

研究開発チームの一人、Robert Kosaraによると、何らかの属性データ（たとえば沈没したタイタニック号に乗っていた人の集団に対して、一人ひとりの属性値）を可視化する手段が限られていたことをあげています。

「扱おうとしているデータが離散的であるにもかかわらずビジュアライゼーションでのパラメータ(位置や長さなど)は連続しており、両者が不整合である 」

Beautiful Visualization 12章 表のツリー表現 P183-193

少しやわらかく言い直すと、属性値自体は文字のデータ、年齢…大人か子供か、性別…男性か女性か、であり、これらを集計して扱う際には数値として扱う必要がでてくる、ということになります。またこういったデータは、名義スケールであり順序スケールではない、つまり順序に意味を持たず、さらには階層構造を持つことがあることも指摘しています。

このようなデータを可視化することができるチャートとしては、それまでツリーマップ（Treemap）とモザイク・プロット（Mosaic Plot）しか存在なかった、そしてParallel Setsは三番目のチャートだとRobertさんは述べています。

一つの軸には一つのデータ属性を割り振る

データを集合として表現するアイデア以外に、ParSetsは平行座標系(Parallel Coordinates)[Inselberg 2009] に大きな影響を受けています。平行座標系は高次元の数値データを表すためによく使われるビジュアライゼーションのテクニックです。値を表現する軸を平行にレイアウトして表示することにより、ツリーマップやMosaic Plotのような入れ子構造よりもデータの理解や比較が容易になっており、特に変数の数が多い場合に有効です。また、この種のレイアウトは、効果的なインタラクションをデザインするのが容易です。

Beautiful Visualization 12章 表のツリー表現 P183-193

階層構造を表す

新しい視覚的構造を探し始めた のですが、そこでようやく我々が求めているのはツリー構造に他ならない(つまり、Standard 方式をとるべき)ということに気づきました。

Beautiful Visualization 12章 表のツリー表現 P183-193

流れや時系列は表現しない

物事の流れや時系列変化の表現には使用しません。つなぐ線は直線、曲線のどちらもありえますが、流れや時間を示さないため、矢印は使用しません。無向グラフ的ということですね。

一番優先度の高い軸の値に応じて着色

カテゴリーデータの値ごとに色が割り振られる場合があります。その場合は、一番重要な軸を一番上に配置し、そのデータ属性の値を色へ適用することが多いでしょう。チャートが入り組んできても、色を手がかりにチャートを探索することが可能となります。

作例

ミネソタ州（上）とノースカロライナ州（下）の住宅データを比較

寒い気候の人々は、暖房燃料として電気よりもガスを好み、移動式の家もあまり好きではありません。南部の住宅は平均的にベッドルーム数がやや少ないが、3ベッドルームの一戸建て住宅は北部よりも多いことがわかります。

国民戦線の躍進はフランスの伝統的な政党を揺さぶる｜フィナンシャル・タイムズ

ピッツバーグの橋梁の構造材別、長さ別、建設年代別、橋梁が架かる河川別の内訳

TRACKING THE EARTH’S 300 NANO-SATELLITES

ドローンが空から落下してくるとき | The Washington Post

Rotem Blinder of IBM “Hierarchical Parallel Sets”

PANTHEON Corriere della Sera – La Lettura #181

News Use Across Social Media Platforms

インタラクション

マウスポインタのホバーなどでユーザーの興味を示すと、該当する面が強調表現（もしくは該当しない箇所の可読性を落とす）ことで、その面がどんなデータを取っているのかが見やすくなります。

ParSets ではインタラクションが重要な役割を果たしています。ユーザーがマウスカー ソルを重ねると実際の値が表示されるほか、属性や値の並べ替え、値の追加や削除も可能です。また、軸上の各属性は並べ替えることもでき、より大きな属性へと結合させることも可能です。例えば、すべての船室を結合させて船員と比較することができます。

Beautiful Visualization 12章 表のツリー表現 P183-193

参考文献

• Riccardo Mazza「情報を見える形にする技術」 P63
• Parallel Sets
• VRVis: Parallel Sets: Visual Analysis of Categorical Data
• Bendix, Fabian，Robert Kosara，Helwig Hauser(2005): “Parallel Sets: Visual analysis of categorical data”. Proceedings of the IEEE Symposium on Information Visualization, 133-140.Los Alamitos, CA: IEEE Press.
• Kosara,Robert，FabianBendix, HelwigHauser(2006): “ParallelSets: Interactive exploration and visual analysis of categorical data”. IEEE Transactions on Visualization and Computer Graphics 12，no.4: 558-568.