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円グラフ (Pie Chart)

円グラフ(Pie Chart)は、全体に対する各部分の割合を円形で表現する代表的な可視化手法です。円を「パイ(pie)」に見立て、全体を1(100%)として分割し、各カテゴリーの占める割合を扇形(スライス)で示します。

チャートの見方

円グラフでは、各スライスの 角度 がデータの割合を表します。たとえば全体が100人で、そのうち40人がA、30人がB、30人がCのグループに属している場合、Aは円の40%、つまり144°(360°×0.4)の角度を持ちます。スライスの 面積や色 を通じて、視覚的に構成比を直感的に比較できるのが特徴です。

多くの場合、スライスには 凡例ラベル が添えられ、カテゴリー名や比率(%)が明記されます。

また、強調したい項目を 少し外に引き出す(explode) ことで視覚的なアクセントをつけることもあります。

背景と歴史

円グラフは、1801年にスコットランドの経済学者 ウィリアム・プレイフェア(William Playfair) によって初めて提案されたとされています。彼は『Statistical Breviary』の中で、各国の領土や人口の比較を目的に円グラフを使用しました。以来、新聞、行政資料、プレゼンテーションなど、定性的な比較に広く利用されてきました。

ただし、円グラフは視覚的には印象的ですが、角度の比較が難しいため、数値の差が小さい場合には棒グラフなど他の可視化手法の方が有効です。特にカテゴリー数が多い場合や、差異を精確に比較する目的では適しません。

使用上の注意点

注意点 内容
スライスの数 多すぎると識別が困難(通常5〜7カテゴリ以内が望ましい)
ラベル パーセント表示や凡例を明確に配置する
色使い 類似色を避け、コントラストを確保する
並び順 値の大きい順や時計回りの順序で配置すると理解しやすい

現代的な応用

今日では、デジタル可視化ツール(Tableau、Excel、Google Charts、D3.jsなど)で容易に作成でき ドーナツチャート(Doughnut Chart)3D円グラフ など派生形式も広く用いられています。特にダッシュボードや報告資料では、「全体の中の割合を直感的に伝える」目的で今なお重要な役割を担っています。

まとめ

円グラフは、構成比を単純明快に表す基本的なチャートであり、定性的な比較や比率の可視化に適しています。ただし、視覚的な美しさとわかりやすさの反面、角度の認識誤差や多カテゴリでの識別難などの限界もあるため、目的に応じて適切に使い分けることが重要です。

参考・出典

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