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放射樹 (Radial Tree)

放射樹(Radial Tree)は、階層構造を放射状に配置して可視化するチャートです。ルートノード(根)を中心に置き、子ノードが外側へ向かって円形に展開されます。ツリー構造を俯瞰できるため、親子関係や階層の深さを直感的に理解することができます。主に系統図や組織図、分類体系、ファイル階層の可視化などに用いられます。

チャートの見方

放射樹は「ツリー構造」を放射状に配置する点が特徴です。以下のような要素で構成されます。

要素説明
中心ノード (Root)ツリーの起点。すべての関係がここから放射状に展開します。
枝 (Edge)親子ノードをつなぐ線。放射方向に伸びるため、階層が増えると円環状に広がります。
ノード (Node)各階層の要素。大きさや色で属性(人数、重み、カテゴリなど)を表すこともあります。
角度配置 (Angular Layout)ノードが中心から均等な角度で配置され、全体で円形を形成します。
階層距離 (Radial Distance)階層の深さに応じて中心からの距離が変わります。外側ほど下位の階層になります。

この構造により、上下や左右の方向性に依存せず、情報を均等に視覚化できる利点があります。

コード・ダイアグラムやツリー図との違い

放射樹は ツリー構造の空間配置 に重点を置いた可視化です。例えば、同じ階層構造を表現する コード・ダイアグラム (Chord Diagram) は「要素間の関係性」を円周上のリンクで示すのに対し、放射樹は「階層的な親子関係」を放射状に展開します。また、通常の縦型ツリー図(Tree Diagram)に比べて、放射樹は 階層が深くてもバランス良く全体を表示できる という利点があります。

主な用途と応用例

用途説明
分類体系の表示動植物の分類やファイル構造など、明確な階層関係をもつデータの可視化。
組織図・家系図上位と下位の関係をコンパクトに示す際に有効。
系統進化の表示系統樹 (Phylogenetic Tree) の放射型レイアウトとしても利用される。
知識体系の可視化概念やテーマの関連を階層的に整理するマインドマップ的用途にも応用可能。

背景と技術的特徴

放射樹は古典的なツリー構造可視化の一形態であり、1980年代以降、計算機科学や情報可視化分野で発展しました。
特に Tamara MunznerBen Shneiderman らの研究を通じて、ツリー構造の多様なレイアウト手法(矩形、円形、放射状など)が体系化されました。近年では、D3.jsRAWGraphsGephi などの可視化ツールで簡単に放射樹レイアウトを生成できます。

参考・出典

Licensed under CC BY-NC-SA 4.0
Oct 22, 2025 22:33 +0900