Show Meは、Tableauに実装された自動可視化支援機能を研究した論文です。この研究は、可視化分析のなかでユーザーが直面しがちな 「どのグラフを選べばよいかわからない」問題に着目し、適切なビューを自動生成・推薦する仕組みを提案しています。Show Meは単なる推薦エンジンではなく VizQLという可視化言語と連動したUIコマンド群とデフォルト設定の集合 として実装されている点が特徴です。

背景と課題意識
従来の可視化ツールは、チャート一覧からユーザー自身が表現を選択するスタイルが一般的でした。しかし、ユーザーはしばしば以下のような困難に直面します:
- グラフィックデザインや可視化の原則に不慣れである
- 70以上のチャートタイプから選ぶのは負担が大きい
- 分析の流れを中断してしまう
Show Meは、こうしたユーザー体験の阻害要因を技術的に解決することを狙いとしています。
Show Meの設計
Show Meは、以下の主要なコマンドとデフォルト設定から構成されています。
自動マーク選択(Automatic Marks)
データフィールドの型や棚(Rows/Columns)の構造に基づいて、適切なマーク型(線・棒・点など)を自動的に選択します。これにより、ユーザーがマークタイプを手動で選ぶ負担が減り、分析の流れが止まりません。

1フィールド追加コマンド(Add to Sheet)
フィールドをビューに1つ追加する際、現在のビュー構造を壊さずに最適な位置・エンコーディングを推定します。これは、中断なく分析を進めるための設計です。

Show Me / Show Me Alternatives
- 選択した複数フィールドに対して、適切なビューをゼロから構築
- 利用可能なビューだけが有効化され、選択肢が限定される
- デフォルトでは最も一般的・有用とされるビューが選ばれる
これにより、「チャート一覧から名前を見て選ぶ」という従来UXではなく、条件に合うビューが自動的に提案される体験が実現しています。

研究上のポイント
1)VizQLとの連携
Show Meは、Tableauの基礎となる VizQL(Visualization Query Language) と深く結びついています。VizQLは可視化とデータベースクエリを統合的に扱う言語であり、この言語を用いることで、マーク選択・ビュー構築・small multiples(多数のビューの自動生成)を効率的に行います。

2)ユーザー体験(UX)の重視
Show Meの最大の貢献は、単なる推薦アルゴリズムではなく、「分析の流れを阻害しない」ユーザー体験の設計にあります。自動化は、ユーザーが明示的に命令を出さなくても、分析を継続できるようにすることを重視しています。
3)実データからの利用ログ
論文では、Tableauの商用ユーザーから得られたログデータも示され、Show Me機能が実際に使用されていることが確認されています。これにより、研究段階の仮説ではなく「実務で使われる仕組み」であることが示されています。

Show Meの意義
Show Meは、可視化研究における以下のギャップを埋めました:
- 理想的なグラフィックデザイン原則と
- 実際のユーザーが迷わず分析を進める体験
を統合したことです。理論的にはVizQLやGrammar of Graphicsが背景にありつつも、一般ユーザーが最適なビューを自然に選択できる仕組みを現実のソフトウェアで実装・検証した点が最大の意義です。
まとめ
Show Meは、Tableauにおける自動可視化生成のためのユーザー体験設計を体系化した研究です。
自動マーク選択、フィールド追加支援、最適ビューの提案という仕組みを通じて、ユーザーが可視化デザインの知識を持たなくてもスムーズに分析を進められるようになっています。
また、実際の利用ログも示されており、「UXとして成立している」ことまで検証された稀有な研究です。
