幹葉図(stem-and-leaf plot)は、数値データを「幹(stem)」と「葉(leaf)」に分けて表示することで、分布の形を視覚的に把握できる統計図法です。 ヒストグラムと似ていますが 個々の観測値が保持されたまま 表示される点に特徴があります。 主に少量〜中量データの探索的分析に用いられます。

チャートの見方
幹葉図は、次のような構造を持っています。
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| 幹(Stem) | データの上位桁(十の位・百の位など)を表す。左側に縦に並ぶ。 |
| 葉(Leaf) | データの下位桁(一の位・小数第一位など)を表す。幹の右側に横方向に並ぶ。 |
| 縦線(|) | 幹と葉を区切る。例:「6|3 5 7」は63, 65, 67を意味する。 |
| 凡例(Key) | 幹葉の対応関係を示す。「2|4=24」のように表記しておく。 |
| 空行(Gap) | 葉が存在しない幹を空白として残すことで、分布の“谷間”を視覚化する。 |
作成手順
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. | データを昇順に並べる。 |
| 2. | 幹と葉に分ける桁(区切り)を決める。 |
| 3. | 幹を小さい順に縦に並べる。 |
| 4. | 各幹に対応する葉を右側に並べる。 |
| 5. | 凡例(キー)を添えて図を完成させる。 |
例:
2|4 7
3|1 2 5 9
4|0 3 8
→ 「2|4=24」「3|1=31」を意味する。
読み取り方
| 観察点 | 意味 |
|---|---|
| データの集中 | 葉が多い幹が、頻度の高い階級を示す。 |
| 分布の形 | 左右対称・右裾/左裾が長いなど、分布の偏りを確認できる。 |
| 最小値・最大値 | 最も左下・右上の葉がそれぞれ最小・最大を示す。 |
| 中央値 | 葉を順に数えることで中央値を求められる。 |
| 外れ値 | 幹から離れた位置に1つだけ葉がある場合、それが外れ値の候補。 |
背景と応用
幹葉図は、ジョン・チューキー(John W. Tukey)が提唱した 探索的データ解析(Exploratory Data Analysis) の一環として1970年代に広まりました。
現在では統計教育や小規模データの視覚的要約に多用され ヒストグラム・箱ひげ図・ドットプロット などとともに、基本的な分布可視化手法の一つとされています。
まとめ
幹葉図は、データの値を保持しながら分布を直感的に表せる、手軽で教育的な可視化方法です。
少数データの傾向を素早くつかみ、中心傾向や外れ値を確認する際に有効です。
ただし、データが多すぎる場合や桁数が大きい場合は、ヒストグラムなど他の手法に切り替えるのが適しています。
