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垂直樹と水平樹

垂直樹(Vertical Trees)と水平樹(Horizontal Trees)は 階層構造(hierarchical structure)を可視化するための基本的なツリー・ダイアグラム(Tree Diagram) のバリエーションです。どちらも「ノード(節点)」と「枝(エッジ)」によって構成され、親子関係を明確に示す図式であり、組織図や分類体系、進化系統樹などによく用いられます。

垂直樹(Vertical Tree)

垂直樹では ルートノード(根)を上部に配置し、枝を下方向に展開する ことで階層を表現します。最も一般的な形式であり、「トップダウン構造」を強調するのに適しています。企業組織図やファイル階層構造などでよく見られます。

チャートの見方

  • 上から下へ:親ノードが上位にあり、下方に子ノードが展開されます。
  • 分岐の深さが階層の深さを示します。
  • 枝の長さや角度は一般に意味を持たず、階層関係を視覚的に区別する補助要素として扱われます。

垂直樹は、人間の「読む方向」(上から下へ)に自然であるため、理解しやすく、情報設計や組織構造の提示に適しています。

水平樹(Horizontal Tree)

水平樹は 左から右(あるいは右から左)へ展開するツリー構造 です。系統的な分類図や言語学的ツリーなど、時間的・因果的な流れを表すときに効果的です。

チャートの見方

  • 左端(または右端) がルートノード。
  • 横方向 に分岐が展開され、各ノードが次の階層を指し示します。
  • 階層が深くなると横方向に広がるため 横長レイアウトや横スクロール表示 に向いています。

また、デジタルデバイスでは 画面比率(ワイド比)に合わせやすい ため、Webアプリケーションやネットワーク図で多用されます。

応用とツール

用途チャートタイプ使用例主なツール
組織図垂直樹企業の組織構造draw.io, Lucidchart
系統樹水平樹言語・生物の進化系統D3.js, RAWGraphs
構造解析垂直樹/水平樹データ構造やXML構造Graphviz, Gephi
知識体系垂直樹教育カリキュラムの構造yEd, Cytoscape

背景と発展

ツリーダイアグラムの起源は、13世紀の哲学的分類図(ポルフィリオスの樹)まで遡ることができます。以降、進化論的系統樹や情報科学におけるデータ構造(ツリー構造)として発展し、現在では 情報可視化の基本構文 のひとつとなっています。
特に現代の可視化ライブラリ(D3.jsやVegaなど)では、ツリー構造を垂直・水平・放射状など多様なレイアウトで自動生成できるようになっています。

まとめ

垂直樹と水平樹はいずれも、階層構造を理解しやすくするための基本的な可視化手法です。垂直樹は組織的・制度的な構造の提示に、水平樹は時間的・系統的な展開に適しています。
それぞれの方向性は 情報の「流れ」や「優先関係」 を視覚的に補強するものであり、目的に応じて使い分けることが重要です。

参考・出典

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Oct 22, 2025 22:33 +0900