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VizQLとは何か

VizQL(Visualization Query Language)は、Tableauの中核を成す 可視化のための宣言的クエリ言語 です。
VizQLは、データの取得・分析・可視化を個別の工程として分離するのではなく 「可視化そのものをクエリとして記述する」 という考え方に基づいて設計されています。

この言語は、スタンフォード大学で研究されたPolarisを起源とし、その研究成果を商用ツールとして成立させるために体系化されたものです。

VizQLの処理フローとSQL/MDXへの変換

背景:SQLと可視化の断絶

従来のデータ分析では、以下のような分業構造が一般的でした。

工程主な手段
データ取得・集計SQL / MDX
分析スプレッドシートや統計ツール
可視化別のグラフ作成ソフト

SQLやMDXは強力なクエリ言語ですが、結果をどのように視覚的に表現するかについてはほとんど考慮されていません。そのため、分析結果を「見る」ためには、必ず別の可視化レイヤーが必要でした。

VizQLは、この分断そのものを問題として捉え、クエリと可視化を単一の言語で扱うことを目的に設計されています。

VizQLの基本思想

VizQLの設計思想は、論文およびTableau公式資料で一貫しています。

  • 可視化は後処理ではなく、分析の中心である
  • ユーザーは「どう描くか」ではなく「何を見たいか」を指定すればよい
  • 実行方法(クエリ生成・最適化・描画)はシステムが担う

このためVizQLは、宣言的言語として定義されています。
ユーザーは最終的に得たい「絵(picture)」を記述し、低レベルな処理はすべて自動生成されます。

PolarisからVizQLへの継承

VizQLは、Polarisで提案された以下の概念を明確に引き継いでいます。

Polarisでの概念VizQLでの位置づけ
可視化=クエリ可視化を記述する正式な言語
表(rows / columns / layers)ビュー構造の基本単位
多次元データのsmall multiples言語仕様として統合
SQLとの統合SQL / MDXへのコンパイル

Polarisが研究プロトタイプとして示した枠組みを、VizQLは製品レベルで実行可能な言語仕様にまで落とし込んでいます。

VizQLで扱える表現範囲

VizQLは、特定のチャートタイプに依存しません。
論文では、VizQLは以下を単一の枠組みで記述可能だとされています。

  • 表(テキスト・クロス集計)
  • グラフ(棒・線・散布図など)
  • 地図
  • 時系列
  • small multiples(表形式の多数ビュー)

重要なのは、これらが「別々の機能」ではなく、同一言語内で相互に切り替え可能である点です。
この性質により、VizQLでは理論上「表現の数に上限がありません」。

VizQLとTableau UIの関係

Tableauのユーザーインターフェースは、VizQLを直接操作するためのGUIです。

  • Rows / Columns
  • Marksカード
  • 各種Shelves(Color, Size, Detail など)

これらにフィールドをドラッグ&ドロップする行為は、内部的にはVizQL式を構築・変更していることに相当します。

ユーザーはVizQLを「書いている」意識を持たずに、VizQLを操作しています。この点が、VizQLを露出しない中間言語として成立させている大きな要因です。

フィルターシェルフ操作とVizQL

VizQLとShow Meの関係

VizQLは、後に導入されたShow Me機能の前提条件でもあります。

  • VizQLが
    • ビュー構造
    • 軸の型
    • マークとエンコーディング
      を形式的に表現できるからこそ
  • Show Meは
    • 「この条件なら、このVizQL式が適切」という判断を自動化できる

つまり、

レイヤー役割
VizQL可視化を記述する文法
Show Me文法に基づく自動設計ルール

という関係にあります。

VizQLの意義

VizQLの意義は、単に新しい言語を作ったことではありません。

  • クエリと可視化の分断を解消したこと
  • 可視化を「結果」ではなく「分析操作」として扱ったこと
  • 探索的分析を前提とした言語設計を行ったこと

これらにより、VizQLはTableauという製品の内部言語であると同時に、Polaris以降の可視化研究を実務へ接続する要石となりました。

VizQLが生成するクエリの例

まとめ

VizQLは、可視化を単なる描画処理から解放し、クエリと同等の第一級の分析操作として扱えるようにした言語です。
Polarisで生まれた理論を、Show MeのようなUX機能と接続しながら実務へと橋渡しした存在がVizQLだと言えます。

Tableauの操作がなぜ直感的で、かつ破綻しにくいのかを理解するためには、VizQLという設計思想を知ることが不可欠です。

参考・出典

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Jan 20, 2026 22:56 +0900