ワッフル・チャート(Waffle Chart)は、データの構成比を視覚的に示すためのチャートで、小さな正方形を格子状(多くは10×10=100マス)に配置し、塗りつぶしたマスの数で全体に対する割合を表します。
円グラフや100%積み上げ棒グラフと同様に「全体に対する部分の大きさ」を示すのに用いられますが、「マスを数える」ことで割合を直感的に理解できるのが特徴です。

このチャートは、Flourish・Datawrapper・Tableauなど多くの可視化ツールで公式テンプレートとして採用されており、公的機関(例:CDCやEsriなど)のガイドラインにも登場するほど、汎用的な表現手法となっています。特に、単一指標の達成率・進捗率・構成比をわかりやすく表す用途に向いています。
図解の見方
全体=100%
グリッド全体(通常は10×10の100マス)が全体量を表します。1マス=1%が基本単位です。塗りつぶしマス=割合の可視化
例えば、68マスが塗られていれば「68%」を意味します。マスを数えることで、割合の大きさを直感的に把握できます。色と凡例の対応
色やアイコンはカテゴリーを表し、凡例で対応関係を確認します。たとえば「青=男性」「赤=女性」など。複数比較(スモールマルチプル)
同じスケールのワッフル・チャートを並べて比較することで、構成比や進捗を公平に比較できます。充填方向の一貫性
左上から右下など、一定方向に塗りつぶすことで視覚的な統一感を保ちます(特に文化圏の読み方向に合わせることが推奨されます)。
背景と関連知識
ワッフル・チャートの発想は、オットー・ノイラートらが提唱した アイソタイプ(ISOTYPE) に源流があります。 これは「記号の大きさを変えず、数の多さで量を示す」という原則に基づく情報表現であり、ワッフル・チャートはその系譜上に位置づけられます。
近年では、データジャーナリズムや教育現場などでも、数値の理解を助ける「可算的(countable)」なチャートとして採用が進んでいます。
FlourishやDatawrapperの公式ビジュアルガイドでは、「構成比・シェア・進捗」のカテゴリに含まれており、視覚的明快さと親しみやすさが評価されています。
また、ワッフル・チャートは精密な数値比較には不向きであり、「おおまかな比率」や「全体の一部を直感的に伝える」ことを目的に用いるのが適しています。
まとめ
ワッフル・チャートは、データの割合をわかりやすく「マスで数える」形で伝える、ビジュアル的で教育効果の高いチャートです。
全体に対する部分の構成比や達成度を一目で理解できることから、円グラフの代替として多くの可視化ツールに標準搭載されています。
データの意味を「数える」「埋める」という操作に変換し、視覚的な比喩として定着した代表的なチャートの一つといえるでしょう。
