アイソタイプ・チャートは ピクトグラムを用いて数量を視覚的に比較する図表 です。社会統計や人口データなどを、よりわかりやすく・親しみやすく表現するために用いられます。
その起源は1920年代にオーストリアの社会学者 オットー・ノイラート(Otto Neurath) と、デザイナーの ゲルト・アルンツ(Gerd Arntz) によって開発された「ISOTYPE(International System Of Typographic Picture Education)」にあります。
チャートの見方
アイソタイプ・チャートでは、各カテゴリ(例:男女・職業・年齢層など)に対応するピクトグラムを 個数で数量を表す のが特徴です。
棒グラフや円グラフのように長さや角度ではなく 同一サイズのアイコンを繰り返すことで値の差を直感的に理解 できます。
要素 | 内容 |
---|---|
可視化の目的 | カテゴリ別の数量の比較 |
表現方法 | ピクトグラム(配置・色・個数) |
スケール | 名義スケール・線形スケール |
座標系 | 直交座標系(X軸・Y軸を用いる) |
デザイン上の留意点 | 扱うテーマに沿ったピクトグラムを選ぶこと |
たとえば図中の例では、縦軸と横軸をもつグラフ上に、人型のピクトグラムを並べ 人数の差を視覚的に比較 しています。
このように 1アイコン = 一定数量(例:1人、10人など) を意味するよう設定し、テーマに適した図柄(人・家・車など)を選ぶことで、意味がより伝わりやすくなります。
背景と特徴
ISOTYPEは「視覚による教育(Visual Education)」を理念としており、文字に頼らず 誰にでも理解できる普遍的な情報伝達手段 を目指しました。 この考え方は、現代の情報デザインやアイコン表現の基礎ともなっています。 ノイラートとアルンツは、ウィーン社会・経済博物館の展示や出版物でこの手法を確立し、後に多くの統計図表や教育資料に応用されました。
まとめ
アイソタイプ・チャートは 数量を“数える”ことで見せる という点に特徴があります。
棒グラフよりも情緒的で親しみやすく、テーマ性を活かしたビジュアル表現が可能です。
社会統計・教育資料・公共デザインなど、幅広い分野で活用されています。
参考・出典
- Isotype Revisited — Home
- Isotype: international picture language — Exhibition (Isotype Revisited)
- Isotype Collection (Isotype Revisited)
- University of Reading — Isotype Collection (Collections & Archives)
- Gerd Arntz Web Archive — Isotype
- Isotype (picture language) — Wikipedia
- Dataviz Catalogue — Pictogram Chart
- University of Vienna — Isotype: Origin, development, and legacy